寄生虫が人間に感染すると症状が出るものと出ないものがあります。
現れる症状は寄生虫の種類によって違ってきます。
今回はその中でもカタツムリなどから感染する寄生虫、広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)について見て行きましょう。
人間が感染するとどうなるのか
まず、感染源はアフリカマイマイやジャンボタニシが上げられます。
これらをよく加熱しないで食べる、またはこれらを別の動物、甲殻類やカエルが食べて感染したところを人間が加熱しないで食べる経路があります。
野菜も油断なりません。キャベツやレタスにはナメクジがついていることがあり、そのナメクジも感染していることがあります。
そうとは知らずに、よく洗わないで生のまま食べると感染します。
人間の口から入った寄生虫は消化器官の粘膜から血管に入り、約2週間かけて流れに乗っていくか、または筋肉やリンパ液から末梢神経をたどって、やがては中枢神経に入り、脳へと到達します。
この寄生虫は人間の中では生きていけないので、いずれは治まるのですが、それまでは激しい頭痛が引き起こされてしまいます。
この症状は好酸球性髄膜脳炎と呼ばれています。
続いて発熱や嘔吐、所々の麻痺などの諸症状が出てくることもあり、ひどい時には昏睡や亡くなることもあります。
寄生虫としての道のり
最終宿主はドブネズミで、そこに経口摂取で入った寄生虫は消化器官内から脳に移動して約4週間留まってから肺動脈へと移動します。
肺にたどり着いた寄生虫は約2週間で成虫になって産卵します。
そこで孵化した幼虫は体内を移動してドブネズミの排泄物と共に外へ出て行き、それをカタツムリなどが食べて中間宿主となります。
中間宿主で幼虫は成長し、約2週間で最終宿主に感染できるぐらいまで成長します。
しかし、成長中に中間宿主がドブネズミ以外のカエル、甲殻類、プラナリアなどに食べられると、これらが待機宿主となり寄生虫はその体内では成長せずにおとなしく長期間生存します。
この中間宿主か待機宿主の段階で人間に取り込まれることによって発症するのです。
対策方法
もし、カタツムリや安全ではなさそうな動物のお肉を食べる時は火を十分に通すことが重要です。
野菜は、生で食べる場合は流水でよく洗うのが一番有効です。
無農薬野菜は特に気を付けましょう。もしくはお肉と同様に火を通してから食べましょう。
カタツムリ、タニシ、ナメクジは素手で触らず、触ってしまったら手をよく洗いましょう。
食事、観察は大事ですが、身を守るのも大事です。
まとめ
アフリカマイマイやジャンボタニシを生で食べようとする方は現在では減っていると思いますが、おそらくまだいらっしゃるでしょう。
長年の習慣や信念は曲げることが難しいですが、どうかお体を大切にしてほしいです。
しかし、カタツムリ以外でも、日本人は生で食べる傾向が根強いですよね。
もし寄生虫予防で、全て生で食べることが禁止された場合、寂しさと同時に不満な気持ちが出てくるのは想像に難くありません。
自己責任と言われればそれまでですが、匙加減を考えて行きたいものです。