世の中には様々な寄生虫が存在していますが、インターネットが普及している昨今ではカタツムリの寄生虫と聞いたら、目玉に寄生しているインパクトのある画像を思い起こす方が多いのではないでしょうか?
カタツムリと寄生虫の種類
その名はロイコクロリディウムといいます。
ロイコクロリジウム、レウコクロリディウムとも呼ばれていて、ヨーロッパとアメリカに生息しています。大きさは数ミリで分類は吸虫(きゅうちゅう)です。
一方の寄生されてしまうカタツムリの名はオカモノアラガイ。
殻の形は卵型に近い円錐状、大きさは20~25mm程で世界中に広く生息していて、日本では北海道から関東地方に多く見られます。
軟体部分は薄茶から茶褐色、殻部分も近しい色ですが中身がうっすらと見えるくらいの透明度があります。
似たような種にモノアラガイというものがありますが、こちらは淡水内に生息、オカモノアラガイは陸生で水辺付近に生息しているという違いがあります。
カタツムリに寄生する経路
最終宿主であるキンカチョウを主とした鳥類の消化器官、直腸内で成虫となって産卵し、排泄物と共に外へ出されて行き、それをカタツムリが食べて感染します。
カタツムリの消化器官内で孵った幼虫は、目玉に続く触角へ侵入して宿主を操って普段は葉の裏などに隠れているのを表側へと目立つように導き、それに惹かれて啄ばんだ鳥類へ戻って行くというサイクルを巡るのです。
寄生されたカタツムリはどうなるのか
目玉へと進んだ幼虫は複数でまとまって太く膨らんで緑色を中心とした鮮やかな縞模様の体色となり、躍動的な伸縮を繰り返して、カタツムリの目玉を鳥類から見て美味しそうなイモムシのように変えてしまいます。
カタツムリは普段は捕食者から身を守るために葉などの物陰に潜み、薄暗い所で食事や生活をしています。
ですが、ロイコクロリディウムに乗っ取られたカタツムリは鳥に食べられやすいように、明るい昼間に物陰から目立つ場所へと移動してしまうのです。
この理由は諸説ありますが、視神経を通じてカタツムリの脳へ自らの神経を接続して操る。
視界が遮断されて光を求めてカタツムリが自ら日向へと移動する。
その際の痛みか異物感によって悶えて目玉である触角を自分でくるくると動かしている…この二種類が有力とされています。
まとめ
寄生されてしまうカタツムリのオカモノアラガイはそのままだと鳥類からはあまり見向きされないようなのですが、ロイコクロリディウムが中間宿主とするのは、この種だけです。
今日までの進化の過程で相性が一番なのかもしれませんが、オカモノアラガイにとっては悲劇…そう思ってしまうのは人間の勝手な性なのでしょうか?