カタツムリを見ることはよくあるけれども、卵からの成長を見ることは、好みや観察で飼育でもしない限り、あまりありません。
近頃はその様子をインターネットの動画などで見ることも可能ですが、ここでは文章で解説をしていきます。
卵を産む時期
冬の間は貝殻の出入り口を粘液で薄い膜を張って塞ぎ、休眠します。真夏で気温が上昇する乾燥しやすい時期は雨が降るまで同様に過ごします。
繁殖はそれ以外の時期で、特に梅雨時の5月から7月の間に盛んになります。
カタツムリは雌雄同体で卵子と精子を同時に持ち、共寝する時に精子のみを互いの体に送り込んで子孫を増やしていきます。
中には単体で増えるものもいます。
受精して10日から2ヶ月経つと、落ち葉の下や草木の根元の湿った地面に、文字通り頭を使って掘り、できた小さな穴に卵を産み落とします。終わると穴を塞いで去って行きます。
数はおおよそ30個前後です。種類によっては100個産むものもいます。
大きさは一般的なもので3mm程、大きい種類になると100円玉に近い卵を産みます。
生み出されたばかりの卵は白色ですが、日が経つにつれて灰色や茶色がかってきます。
形は丸いものが多いのですが、楕円形のものや、中には親と同じ姿で生み出されるものもいます。
孵化までの期間は温度によって差が出て来ますが、20度だと3週間程かかります。
卵と、孵化してからの育て方
カタツムリは親も卵も乾燥が大敵です。
卵が埋まっている土が乾いてきたら霧吹きなどで湿らせてください。
容器に入れているならば、直射日光は避けて暗がりに置いておくのが良いです。
孵化した姿は親とそれほど変わりありませんが、貝殻は胎殻(たいかく)と呼ばれて、親の貝殻に見られるような成長脈の線が見られない滑らかな様相をしています。
成長するに従って大きくなり、成長脈も刻まれて2~3年もすれば卵を産める大人になります。
見分けがつきづらい親子ですが、大きさと、貝殻の出入り口で判別することができます。
大人になると出入り口の端が外側に反り返った形になるのです。
食生活も親とあまり変わらないので、柔らかい葉やレタスとキャベツなどの葉野菜を与えておけば食べてくれます。
少し成長してきたら人参やキュウリといった他の野菜でも大丈夫です。
背中の貝殻の成長にはカルシウムが必要なので、他の貝殻や卵の殻を与えておくと良いでしょう。
この段階でも直射日光は避けて、湿気が十分かどうか注意してあげてください。乾きかけてきたら少々湿らせる程度で大丈夫です。
まとめ
生命の多くは親を頼りにしていません。
産まれた瞬間から自分の力で食べ物を探して成長して子孫を残しますが、他の生き物に食べられるなどで失われる命の方が遥かに多く、卵や子供を膨大な数にして少しでも生き残るようにしている種がほとんどです。
我々哺乳類や鳥類、爬虫類の一部による子育ては素晴らしい生き残り戦略ですが、儚くも逞しい生き方を見習っても良いと言えます。