背中にある貝殻以外は同等の両者。
習性も似通っていますが、食べ物の好みはどうでしょう?
今回は家庭菜園をしている方や農家の方にとってはあまり好ましくない内容かもしれませんが、どうかお付き合いをお願いします。
食べ物の好み
カタツムリの貝殻はカルシウムを元に作られているので、それが多く含まれている石灰岩、本体が亡くなって殻だけになったもの、残っていれば本体も食べます。
よくコンクリートも食べると言われていますが、本当です。
中に含まれているカルシウムを摂取するために食べています。
ナメクジは小麦と酵母の臭いが好きで、ビールの空き缶を罠にすると良いという話をよく聞きますが、効果の程はまちまちです。
以上の点で好みの違いはありますが、ほぼ何でも食べます。
種類によって多少の違いはありますが、どちらも共通で好きなのは柔らかい葉や落ち葉なので、キャベツやレタスといった葉野菜と、地中深くには入れないので根野菜は無事ですが地上に出ている葉に被害が見られます。ただし、根の部分が地上に出ていたらそれも食べてしまいます。
キノコも食べるので、しいたけ栽培用の木にも集まってきて農場の方を悩ませているそうです。
木の幹や岩にも来ますが、これは表面に生えているコケを食べにきているのです。
木そのものは、そのままだとあまり好まず、寿命が来て枯れたもの、折れた枝が地面に落ちたもの。それらが微生物や風雨の影響によって柔らかく変質した部分を食べています。
草花も固いものは同様にして柔らかくなったものか、新芽や成長し始めの柔らかい時に食べます。更には紙も食べることができます。
以上のような植物や菌類が乏しい時期は腐葉土、他の生物の糞や亡骸も食べます。
日本国内ではこのように基本的には草食と雑食の面が多い彼らですが、海外に目を向けると、他の個体を襲って食べる肉食のものもいます。
食べられないもの
食べられないものは塩分の濃いものや刺激の強いもので、これは浸透圧の関係で体の水分が吸収されてしまうためです。
ナメクジに塩をかけると小さくなるのはこの現象で塩に吸収された水分の量だけ縮むので溶けているわけではありません。
食べ物に対する口の構造
こちらも種類によっては多少の変化はありますが、どちらも口の中に歯舌(しぜつ)と呼ばれる軟骨性でヤスリ状に並んだ歯があります。
例えるならば猫の舌やおろし金の構造です。
この歯舌を使って食べ物を削り取って摂取するのです。
食べれば食べる程に擦り減っていきますが、サメの歯のように次から次へと繰り出て来ます。
普通の歯に比べて柔らかい歯舌でカタツムリはどうやってコンクリートや石灰岩、貝殻を食べているのかと言いますと、石灰岩と貝殻は炭酸カルシウムと呼ばれる化合物からできており、炭酸ガスを含んだ水に溶ける性質があります。
自然界の雨水は降ってくる時に空気中の炭酸ガスを吸収して薄い炭酸ガス溶液となって地面に降り注ぎます。
これによって石灰岩と貝殻は少しずつではありますが表面が溶けてきて、乾くと炭酸カルシウムが粒子になって微量残っている状態になります。
この現象によって出てきた炭酸カルシウムを削り取って摂取しているのです。
コンクリートも同様にして摂取していると言えます。
まとめ
このようにほぼ何でも食べていると言っていい彼らのために野菜を育てている中で悩んでいる方は多いと思います。
逆に食べ物にしてやれと思う方が、もしかしたらいるかもしれません。
興味を持って、好奇心で食べてみようと思う方もいるでしょう。
強くは止めませんが、生で食べるのは絶対にやめて下さい。
あらぬ病気になってしまう可能性があるので、しっかりした加熱をお勧めします。